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オムニチャネル化するファンクラブ|3分で解る!SKIYAKIがファンクラブ・EC・チケット事業を始めた理由

雑誌WIREDの初代編集長ケヴィン・ケリーの言葉に「コピーされるものはいずれタダになる宿命にある」という言葉があります。その言葉の示す通り、技術の発展により音楽や画像、映像などコピーされるものはタダ同然で手に入れられるようになりました。一方、コピーされないライブ・イベントなどのリアルな体験により生み出される価値に注目が集まっています。そこでファンとリアルな体験を結びつける役割としてそのあり方が見直されているのが、「ファンクラブ」「ECサイト」「電子チケット」です。当記事では、なぜ今それらのサービスが話題にあがるのか、その理由と背景、そしてサービス同士がオムニチャネル連携することで広がるこれからの「ファンクラブ」「ECサイト」「電子チケット」の可能性について解説いたします。

 

▼目次

■音楽業界の収益構造の変化
-コピーされるものはいずれタダになる宿命にある。
-CDは売れなくても、ライブ市場は右肩上がり

■チケット代がクリエイティブな活動に全て還元されない現状
-かつてはCD販売のためのプロモーションの一環だった「ライブ・コンサート」
-「ファンの財布は1つ」

■クリエイティブな活動を持続可能とするために欠かせない「三種の神器」とは

■bitfan連携でさらなる価値の提供を目指す
-オムニチャネル化することで生まれる新たな価値
-事業の横展開:ファンとの接点を持つ全ての方に。

 

 

■音楽業界の収益構造の変化

コピーされるものはいずれタダになる宿命にある。

一昔前には、人気歌手のCDがミリオンセラーになるほど、CDを購入するという行為は当たり前のように行われていました。しかしCD販売全盛期から約20年が経過した現在、10代、20代の皆さんはCDを買ったことがないという人も増えているのではないでしょうか?その現状を表しているのが下記の図です。

 

▼図:1998年をピークとした音楽ソフト生産金額の縮小

 

ケヴィン・ケリーの「コピーされるものはいずれタダになる宿命にある」という言葉の示す通り、WEB等の技術の普及により、音楽やクリエイティブな作品そのものはいくらお金をかけて制作したとしても、容易にコピーされ、いつでも誰でもタダ同然で手に入れられる環境になりました。

 

CDは売れなくても、ライブ市場は右肩上がり

このようにCDが売れなくなり、コピーされるものの価格が限りなくゼロに近づいている傾向にあるいま、「音楽業界は縮小している」ともいわれてきました。しかし、業界を俯瞰してみると全体の収益構造が変化していることがわかります。それを示しているのが、下記のライブ・コンサート市場規模を示した図です。

 

▼図:2006年より右肩上がりとなっているライブ・コンサート市場

 

すでにご存知の方も多くいることと思いますが、1990年代以降のこうした背景の中、音源などの創作物そのものの売買から活動資金を得ることが難しくなってきたという現状があります。

 

その一方で、2006年以降、ライブ・コンサートの市場規模は上昇傾向にあります。アーティストやクリエイターは、クリエイティブな活動を継続するためのひとつの解決策として、コピーができない、イベントを中心としたリアルな体験の場から収益を得る必要が出てきたのです。

 

その大きな流れの中、音楽・エンタメ業界を中心にリアルな体験を提供するイベントが注目を集めています。2016年のライブ・コンサート入場者数は、過去最多の4,768万人となり過去10年間で2倍以上の増加、公演回数も過去10年間で約2倍の規模となっています(出典:一般社団法人コンサートプロモーターズ協会)。ライブ・コンサート市場の成長に併せて、アーティスト・クリエイターとファンをリアルとデジタルで繋ぐ「ファンクラブ」「ECサイト」「電子チケット」も、そのあり方を大きく変えてきています。

 

■チケット代がクリエイティブな活動に全て還元されない現状

かつてはCD販売のためのプロモーションの一環だった「ライブ・コンサート」

前述の通り現在ライブ・コンサート市場が右肩上がりになっているのであれば、チケット代金で充分売上げを上げることができるのではないかと思う方も多いかもしれません。しかし、ライブ・コンサートを開催しチケット代の売上げに期待するだけでは、アーティスト自身が直接収益を得るのは難しいともいわれています。

 

1998年以前のCDの売上げが右肩上がりだった時代には、CDのプロモーションの一環としてライブイベントを開催し、CDの売り上げを伸ばすことで一定の収益を得ることができていました。しかしCDの売上げが減少している今の時代には、容易ではありません。例えば、特にドーム、スタジアム、アリーナと呼ばれる大きな会場でイベントを開催する場合、本来ライブイベントの収益になると考えられるチケット代自体は、プレイガイドへの支払いやイベンターに支払う会場代、運営スタッフへの人件費等の経費に充てられてる割合が大きくなるため、チケットの売上げの全てがアーティストサイドに残る訳ではありません。つまり、ライブ・コンサート市場自体は拡大していても、実は、本来対価の支払われるべきアーティスト自身のクリエイティブな活動に全ての利益が還元されている訳ではないということです。

 

「ファンの財布は1つ」

さらに、ここで理解を深めるために考えておかなければならないポイントを1つ紹介します。下記の図を見ていただくとわかるように、お客様であるファンのお財布は1つ。そのため、たとえば、高額転売されたチケットを購入するなどチケット代に支払わなければならない金額が高額になればなるほど、その人のお財布の中からグッズ購入へ支払うことができる金額は減ってしまいます。(好きなアーティストのグッズは別腹!と思う方も多いかもしれませんが。)昨今、高額転売問題が大きな話題として取り上げられる背景にも、前述のような業界全体の収益構造の変化やファンのお財布問題により、アーティスト自身のクリエイティブな活動自体に直接還元される利益が減少してきているということが影響していると言えるでしょう。

 

 

■クリエイティブな活動を持続可能とするために欠かせない「三種の神器」とは

ファンの消費活動が「モノ消費」から「コト消費」へスライドし、これまでとは収益モデルが変化していると推察される音楽・エンタメ業界では、今後もライブ・コンサート市場が継続して拡大していくと考えられます。

 

ここまでライブイベントを開催しただけではアーティスト自身の収益が得られにくいという現状についてお話ししてきました。では、ライブ・コンサート市場が拡大している今の時代に、果たして事務所ひいてはアーティスト自身が継続的に、より高い収益を得てクリエイティブな活動を持続可能にするためにはどうすればよいのでしょうか。

 

当社は、ファンの消費活動がモノ消費からコト消費の「体験型」へスライドしてきた市場の変化をいち早く捉え、2012年2月にFantech事業を開始した当初から、マーケットが拡大する「リアルな体験の場」に着目し収益を得ることのできる仕組みづくりに取り組んできました。

 

その解決策として当初より着目していたのが、「ファンクラブ」「ECサイト」「電子チケット」を中心とした、アーティスト・クリエイターとファンをつなぐためのエコシステムです。当社では「ファンクラブ」「ECサイト」「電子チケット」を音楽業界の「三種の神器」と位置付け、現状のアーティスト活動を通じて「リアルな体験の場から収益を得ること」を課題と感じているアーティスト・クリエイターに向けたソリューションを開発して参りました。

 

▼表:音楽業界の「三種の神器」

 

これまで、これら「三種の神器」は、システムが別々であったり、中間業者を挟む必要があったりと、運用がバラバラで複雑化していました。そこで当社は、余計なフローを挟むことなく上記全ての機能をアーティストの事務所やプロダクションにおいて一元管理できるような、「リアルな体験の場」に紐付く新たな収益源となるプラットフォームの提供を開始しました。

 

これにより、アーティストとファンとの出会いからその後の継続的なファンとの関係構築まで全ての接点において、ユーザーのニーズを取りこぼすことなく且つより収益性の高い形で、ファン活動を円滑にしながら、さらにファンの熱量を高めていくという好循環を生み出すことを可能にしました。ライブ・コンサート市場、チケットサービス市場が高い成長性を有する現代において、このように一気通貫でファンとの接点になる機能を管理できるプラットフォームの重要性はますます高まっています。

 

■bitfan連携でさらなる価値の提供を目指す

オムニチャネル化することで生まれる新たな価値

当社は、前述の「三種の神器」をはじめとするソリューションをより効果的にご利用いただけるよう、2018年2月より「bitfan」という独自のシステムをリリースしました。ユーザーIDに紐づく形でファンの行動履歴を可視化し、アーティスト・クリエイターとファンとの接点をオムニチャネル化していくことで、「ファンクラブ」「ECサイト」「電子チケット」などの一元的な把握を可能にしました。それにより、例えば、誰がいつファンクラブにログインし何を閲覧したか、SNSでいつどういった関連情報を拡散したか、いつどんなグッズをどのくらい購入したか、どの公演に応募し来場したか、といったファンの行動・購買データから、1人1人のファンの“熱量”を把握することも可能となります。

 

「bitfan」は、計測した1人1人のファンの“熱量”に対してトークンを付与し、獲得したトークンの総量に応じてファンへ特別な体験を提供することを可能にしたサービスです。例えば、熱量が高い上位100名のファンに対してアーティストのコンサートチケットの優先予約権を付与する、または、アーティストから熱量の高いファンに向けた特別なメッセージが届く等の活用をしていただくことが可能です。「bitfan」の活用により、「ファンクラブ」「ECサイト」「電子チケット」などのファンとの接点となる全てのチャネルを一気通貫してご利用いただけるだけでなく、ファンの熱量データを元にリアルイベントを企画するなどデータとリアルな場を有機的に連携させることで、ファンに特別な体験を提供することができます。

 

また、アーティスト・クリエイターとファンとの接点をオムニチャネル化しそのデータを活用することにより、これまでのファンクラブのような「ファン」か「ファンではない」かという二者択一の画一的なセグメント分けではなく、ユーザーIDに紐付いたファン1人1人の熱量に応じた絞り込みを可能にすることによって、熱量の高いファンだけにアプローチをかけるなど、より精度の高い、ファンへの個別のアプローチ、すなわち1人1人のファンの熱量に応じてカスタマイズされたファンにとって特別な体験を届けることができるのです。

 

事業の横展開:ファンとの接点を持つ全ての方に。

このようなファンのリアルな体験とデジタルな行動履歴のデータ集積への関心の高まりは、音楽・エンタメ業界に限った動きではありません。当社では、2018年6月に、業務・事業提携によりペット業界へも「bitfan」の活用の幅を広げるなど、エンタテインメント領域に留まらずさらなる横展開を進めています。今後「bitfan」は、ファンとの接点を持つ全ての方にご利用いただけるサービスに進化してきています。

 

当社は引き続き、既存サービスの強化を図るとともに新たなサービスプラットフォームを積極的に創造し、これらのサービス群を「bitfan」を中心に有機的に結合させていきます。ファンとの接点を持つ全ての皆様に、ファンへの理解を深めファンとのよりよい関係を構築するためのツールとして「bitfan」をご利用いただけるよう、そして1人1人のファンにとってより価値の高い“特別な体験”をお届けできるよう、今後もサービスの改善に努めてまいります。